EPCとは †
EPCは、European Patent Conventionの略である。
条約の前文には、以下のような記載がある。
「締約国は、
発明の保護に関する欧州各国間における協力を強化することを希望し、
特許付与のための単一の手続と、それにより付与された特許を規律する標準的なルールを確立することとによって、各国においてそのような保護が得られることを希望し、
この目的のために、European Patent Organization (EPO)を設立するための、パリ条約第19条における特別の取極およびPCT第45条(1)における広域特許条約を構成する条約を締結することを希望し、
以下の規定に同意した。」
EPCの加盟国 †
EPCの加盟国は38ヶ国(2011年5月現在)である。
EPCの基本的な特徴 †
- 新規性サーチと審査が分離されている(サーチ部門はヘーグ、審査部門はミュンヘン)
- 複数審査官による審査がなされる
- 審査部門と異議部門が分離されている
- 付与後異議制度を採用している
- 早期公開制度を採用している (EPC:93)
出願は、出願日または優先日から18月経過後に公開される。 - 審査請求制度を採用している
審査請求があったときに実体審査に付される。
審査請求期間はサーチレポートの公開から6月である。この期間内に審査請求されない場合は、出願が取り下げたものとして扱われる。 - 新規性サーチがなされる
すべての出願について新規性サーチが行われ、サーチレポートが作成される。この新規性サーチは、ヘーグにあるサーチ部によって行われる。
このサーチレポートは、原則として出願公開と同時に公開される(出願公開までにサーチレポートが作成できなかったときは、作成後速やかに公開される。)。 - 審査
出願についての審査は、ミュンヘンにある審査部によって行われる。各審査部は、基本的に3人の技術系審査官により構成される。- 特許を受けることができる発明 (EPC:52)
特許要件としては、産業上利用可能性、新規性、進歩性が要求される。
(a) 発見、科学的理論、数学的方法;(b) 美的創造物;(c) 精神的行為の遂行、遊戯または事業活動に関する計画、法則並びに方法、およびコンピュータプログラム;(d) 情報の提示は、「発明」とは認められない。
手術または治療による人体または動物の体の処置方法および人体または動物の体に施される診断方法は、産業上利用可能性のある発明とは認められない。 - 新規性(Novelty)の基準 (EPC:54)
発明が新規性を有すると認められるためには、技術水準(state of the art)の一部を構成しないことが必要とされる。
この技術水準には、1.公知技術と、2.先願開示技術が含まれる。- 1.公知技術(世界主義を採用)
書面または口頭による開示によって、使用によって、またはその他の方法により、ヨーロッパ特許出願の出願日前に公衆が利用することができるようにされているすべてのもの - 2.先願開示技術(特29条の2に類似)
出願日前に出願され、出願日または出願日以後にEPC:93条の規定により公開されたヨーロッパ特許出願の内容
- 1.公知技術(世界主義を採用)
- 新規性喪失の例外 (EPC:55)
出願前6月以内の出願人に対する明白な裏切り行為による発明の開示、および所定の博覧会出品については、EPC:54条の新規性を判断するに当たって考慮されない。日本の新規性喪失の例外に比べて適用範囲が狭いので注意が必要。 - 進歩性の基準 (EPC:56)
技術水準(先願開示技術を含まない)を考慮して、当業者にとって自明ではない発明は、進歩性を有するものとされる。 - 不特許事由 (EPC:53)
公序良俗に反する発明、植物または動物の品種または植物または動物の生産のための本質的に生物学的な方法、は特許されない。ただし、植物の品種等に関する微生物学的な方法またはその方法による生産物については除かれる。
- 特許を受けることができる発明 (EPC:52)
EPCにおける基本的な手続の流れ †
EPCにおける基本的な手続の流れは以下の通り。

EPCに基づく特許 †
- EPCにより付与される特許(欧州特許)は、原則として、各締約国において付与される国内特許と同一の条件において同一の効力を有する。(EPC:2)
- 欧州特許は1以上の締約国を指定して請求することができる。(EPC:3)
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